毎日持ち歩くものを、全部黒にした。
バッグの中を開けたとき、余計な色が目に入らない。そのためだけに、EDCを黒で揃えた。
本を読む行為に、デバイスの存在感は邪魔だ。Kindle Paperwhite のブラックは、その邪魔さを最小化している。
本を読んでいるとき、デバイスを意識したくない。
紙の本が優れているのはその点で、手に持っていても「紙を持っている」という意識がほとんどない。Kindle Paperwhite のブラックは、電子書籍リーダーとしてその感覚に最も近いと思っている。
212グラム。
一冊分の文庫本より軽い。ベゼルがブラックで統一されているため、読んでいるとき視界に入るのは文字と余白だけになる。白いベゼルのリーダーは画面の外側が常に視界に残るが、黒は画面と境界が曖昧になって文字だけが浮かぶ。
夜に読むときの話をすると、ブラックのボディは暗さの中に溶けて、光るテキストだけが空間に存在している状態になる。これが気に入っている。
IPX8防水で、風呂でも読める。
湯船で読書をするとき、デバイスを落とす不安がない状態というのは集中に直結する。本を読む行為に使うエネルギーを、デバイスの管理に使わなくて済む。
Kindle Paperwhiteのブラックが一番しっくり来るのは、夜に読むときだ。
部屋の照明を落として、画面の明るさを下げる。そうすると本体の黒い縁はほとんど背景に溶けて、文字だけが浮いているように見える。紙の本とは違うが、画面を見ているという感覚も薄い。
この状態では、デバイスが主役にならない。読むための境界としてだけ存在している。タブレットのように通知が来るわけでもなく、画面が過剰に鮮やかなわけでもない。できることが少ないことが、読書にとってはむしろ正しい。
スマホでも電子書籍は読める。
けれど、スマホは読書以外のことができすぎる。数ページ読んだあとに通知を見る、検索する、別のアプリを開く。その流れが起きやすい。読書をするには、機能の多さがそのままノイズになる。
Kindle Paperwhiteは遅い。画面遷移も派手ではない。けれどその遅さが、読む行為の速度に合っている。ページをめくる、戻る、線を引く。それ以上のことを強く促してこない。
黒い本体は、その控えめさと相性がいい。
バッグに入れても、ほとんど場所を取らない。
文庫本を一冊入れる感覚に近いが、中には何冊も入っている。移動中に読む本を選ばなくていいことは、思った以上に楽だ。今日は小説、明日は仕事の本、途中で別の本に戻る。そういう読み方が自然にできる。
ただし、ガジェットとしての高揚感は少ない。開封した瞬間に強い満足感があるタイプの道具ではない。使っているうちに、存在を意識しなくなる。その地味さを評価できる人向けだと思う。
ブラックのKindle Paperwhiteは、背面も含めてほぼ完全に黒で統一されている。
Amazonのロゴが背面にあるが、艶消しのボディと同素材のエンボス加工で入っていて、光の角度を変えなければ見えない。こういう処理が好きだ。ロゴを消したいのではなく、主張しない場所に収まっていてほしい。
読み終わったあと、テーブルに置く。黒い板がそこにある。それだけでいい。